こんにちは、山口県宇部市の歯科・矯正歯科アールクリニックの歯科医師・院長の折田です。今日は、マウスピース矯正「インビザライン」の治療について語らせていただきます。
マウスピース矯正「インビザライン」は、どこでやっても同じと思っていませんか?実際はまったく違います。インビザラインというのは、歯型をとって、アラインテクノロジー社に送ります。そして、そのデータをもとにマウスピースが作られてきます。患者さんにとっては、「歯型をとってアライン社が作るのなら、どこでやっても同じでしょう」と思うかたが結構いらっしゃるみたいで、安いところでは50万円くらい、高いところでは150万円くらいと、「なぜそんなに値段が違うのか」「同じだったら安いほうがいいんじゃないか」と思われるかたがいて当然だと思います。結論から申しますと、これはまったく違います。どこでやっても同じということはあり得ません。
ドクターはインビザラインの設計を行うわけですが、そのソフトウェアを「クリンチェックプロ」といいます。このクリンチェックプロを使ってインビザラインの設計、デザインをしていくわけですが、ここでドクターによってまったく違いが出てくるのです。ドクターがこのクリンチェックプロを使って、まずゴールの設定を決めます。その患者さんの治療ゴールがどういうものになるかということを、1本1本の歯について細かく設定していく必要があります。この時点で、すでにドクターによって全然違うポジションというのがでてきます。なぜかというと、そのドクターによって治療目標、治療に対する考え方、矯正歯科医として学んだバックグラウンド、テクニック、そういったものがこの治療ゴールに反映されるからです。
そして、治療ゴールが設定されたら次に設定しないといけないのが、歯の動き。ここで設定しているのは、どの歯をどういう順番で、どれだけの量、いつ動かすのか、ということを設定しないといけません。インビザラインの連続の動きはソフトウェア上で見れますが、流れは治療前の状態、治療後の状態まで直線的にずっときているわけではないのです。治療前後の流れを設定したところで歯というのは絶対そういうふうに動きません。なぜなら根の大きさも違えば、骨の厚みも違えば、また歯は引っ張り合いで動いているのですが、その力関係、バイオメカニクスについてもきっちりデザインしてあげないとその通りには絶対動かないのです。
次に、その動きを実現するような「アタッチメント」をデザインしないといけません。このアタッチメントをどの歯に、どの大きさのものを、いつ、どういうポジションにつけるのか、ということをデザインしていかないときちんと力が加わらない、きちんと力が伝わらないということになります。バイオメカニクスについての理解がないと、あるいは患者さんが使いやすいようなアタッチメントをデザインしてあげないと実際にうまく機能しないのです。
このように治療のゴール設定、動きの設定、そしてその動きを実現するアタッチメントのデザイン、これら3拍子きちんと揃っていないと歯というのはきちんと動かず、インビザライン治療は成功しないのです。そこがなかなか難しい、ドクターによって考え方が違いますので、クリンチェックデザインというのがまったく違ってくるのです。